大学全入時代に大学を考える①
今現在、4年制大学への進学率が50%を超え、専門学校・短期大学等を合わせた高等教育機関への進学率は70%を超えています。
その一方で毎年のように定員割れとなっている大学もあり、いわゆるFラン大学と呼ばれる大学が乱立しています。
このような現状を鑑みると、今の日本はもはや大学全入時代に突入したと言っても過言ではないでしょう。
1950年代の4年制大学への進学率は10%程度であったことから、ここ50年で4年制大学を含めた高等教育機関(以下、大学とする)への進学率は飛躍的に向上していることが分かります。
何故大学に進学するのか?
ここでひとつ疑問が生まれます。
何故わざわざ世界トップレベルの授業料を払ってまで大学に進学するのでしょうか?
小中学校の義務教育期間が終了すれば、保護者に義務付けられている普通教育を受けさせるということは果たされたと言えるのではないでしょうか。
大学全入時代に突入した今だからこそ、大学に進学することの意義を今一度問い直す必要があると考えます。
希少性を得る為の大学進学?
大学に進学することの意義のひとつとして、希少性を得ることが挙げられると考えます。
1950年代は前述のデータが指し示す通り、大学に進学する生徒そのものが少なかった為、大学に進学するということだけで希少性が得られたことは容易に想像できます。
しかし現代は前述した通り大学全入時代に突入していることから、大学に進学するということだけで希少性が得られることはまずないでしょう。
大学全入時代に希少性を得る為には?
大学に進学した者の中で希少性を得る為に最近の大学生の間でブームとなっているのは留学・学生団体設立が挙げられると考えます。
[留学]
留学と一言で言っても、期間は1ヶ月、半年、1年...とバラエティに富んだものとなっています。
1ヶ月単位で留学に行くことが出来るようになってから留学に行くということに対するハードルは確実に下がっていると言えるでしょう。
現に留学者数は1980年度が約1万5千人であったのに対し、2010年度は約5万8千人となっています。
2004年度の約8万3千人というピークに比べると減少していることは確かではありますが、依然としてここ30年で留学者数は4倍以上に跳ね上がっています。
[学生団体設立]
私が在学している都留文科大学に於いても私が代表を務めている子ども食堂プロジェクト、友人が代表を務めている古民家再生プロジェクト等々、挙げれば枚挙にいとまがありません。
以上のようなことから、大学に進学した者の中で留学・学生団体設立という形で希少性を得ようとしている学生が増え続けつつあるということはまぎれもない事実と言えるでしょう。
希少性を得る為に始めたことがブームとなってしまうと、留学・学生団体設立だけでは希少性は得られなくなってしまうことは明らかです。
留学にしても学生団体設立にしても、ただ留学すれば、ただ学生団体を設立すれば希少性が得られるという時代はとうに終わりに近づいていると考えます。
であるならばどうすれば良いのでしょうか?
この問いに対する私なりの答えも合わせて「大学全入時代に大学を考える②」で詳らかに述べていきます。
青野