教育基本法を考える③
「教育基本法を考える」シリーズも第3回目に突入しました。
今回は
教育基本法第2章 教育の実施に関する基本
第7条 大学の第2項である
大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性は尊重されなければならない。
の条文を考えていきます。
大学の自主性、自律性?
大学の自主性、自律性と言われても今ひとつピンと来ない方が私含めていると思います。
ここで上記の条文の第1項を見てみると
大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を追究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。
とあります。
大学の果たす役割
今までにあげた2つの条文を鑑みると
大学には
- 高い教養と専門的能力を培い、それをもとに新たな知見を創造する
- 加えてその知見を社会に提供することで、社会の発展に寄与
以上、大雑把ではありますが、2つの役割があることが分かります。
このような役割を果たす為に大学には自主性、自律性が保証されており、さらに研究の特性が尊重されている、ということでしょう。
安全保障技術研究推進制度
しかし、先に述べたような大学の自律性、自主性が徐々に失われつつあります。
ここで防衛省が2015年度より開始した軍事転用可能な基礎研究に助成する安全保障技術研究推進制度の予算の変化を見ていきましょう。
- 2015年度:3億円
- 2016年度:6億円
- 2017年度:110億円
いかがでしょうか?
2016年度から2017年度にかけて安全保障技術研究推進制度の予算が約20倍になっていることが分かります。
この結果から考える
確かに基礎研究は民間利用であるものだとしても、異なる観点から見れば軍事に転用可能なものは山ほどあると思います。
私は何も軍事に転用可能なものの基礎研究をやめてしまえ!
などと言っているわけではありません。
ただ安全保障技術研究推進制度の予算の変化を見ると、防衛省があからさまに大学を軍事研究の場にしようとしている現状に警鐘を鳴らしているのです。
大学の現状
ここまで読者の皆さんは
「そんな制度に頼らなくても大学の研究費を使えばいいんじゃないの?」
と思われるかもしれません。
話を分かりやすくする為にここでは国立大学のみに焦点を絞って述べると...
2004年に国立大学は法人化され、
以降、毎年国からの国立大学運営費交付金は削減され続け、ここ10年程度で総額1200億円以上が削減されています。
このような現状を踏まえると、とても大学の研究費に頼れる状況でないことが分かるでしょう。
解決策
大学の現状を述べるだけで終わると結局のところ政府を批判するのみで終わってしまいます。
それでは全く生産性がないと思うので、ここでは私なりにこの現状を打破する策として
- 大学の数を厳選する
- 研究者自身が声をあげる
の2つを考えました。
まず今現在、大学の数が余りにも多すぎます。だからこそ大学に対する国からの補助金が分散してしまいます。であるならば大学の数を厳選し、国からの補助金がなるべく分散しないような取り組みが必要だと思います。
次に大学の研究者自身が下からの突き上げで声をあげる必要があると思います。
前回のブログでも述べましたが、今はネットという手段を使うことで私含めた政府外の人間が声をあげやすい環境にあります。
現状に憂うだけでなく、何かしらのアクションを起こすことの重要性を再考する必要があるでしょう。
青野