「書く」技術の向上
「すいかと桃を3つ買ってきて。」
これを伝えられた時にあなたはすいかと桃とをそれぞれ何個買ってきますか?
- すいか1 桃3
- すいか3 桃3
- すいか1 桃2
- すいか2 桃1
この書き方では4通りの解釈が考えられます。伝えた側の考えが上記の1.だった場合、「すいかと桃を3つ買ってきて」をどう変えれば正確に伝わるでしょうか。
- 桃を3つとすいかを買ってきて
- すいかと、桃を3つ買ってきて
- すいか1つと桃を3つ買ってきて
というように書き言葉であればこの3通りが私は浮かびました。特に2つ目は書き言葉だからこそできるもので、話し言葉として発してしまうと元の言葉と変わりません。
こういった点から「作文は自分が話そうと思っている言葉をそのまま書けばいいよ。」というのは間違いで、話すこと・書くことを分けて考える必要があることが分かります。
また、これはある2年生用の教科書に載っていた1ページです。単元目標は「文法的観点から、表現を見直すことの意義を理解する。」となっています。「意義を理解する」にとどまり、想定時間はたったの1。これについての個人的な考えを以下で述べていきたいと思います。
知識としての技術
自分では分かっていても相手には違った内容で伝わっては意味がありません。何度もブログで書いていることですが、文章には「分かりやすく書く」原則が常につきまといます。そのためには形式も必要ですし、こういった表現を見直すことも重要になってきます。
アクティブラーニングでもよく焦点を当てられるのは「話す」ことではないかと感じています。もちろんこれも大切ですが、正確なコミュニケーションには書く表現の技術も高める必要があるのではないでしょうか。考えをまとめて意見を発するにしても、自分の意見が相手に正確に伝わるように表現を工夫する必要があり、知識として理解するだけでなく実際に文章を認める上で活かされなければならない。知識を作文に使える技術にできるようアプローチしなければいけないと思います。
「国語」としての表現技巧
教科書のページで書かれていたのは
- 並立の関係
- 呼応の副詞
- 文節・連文節の対応
でした。表現技巧といえば他にも倒置法や対句など多岐に渡ります。正確に書いて伝えるためには句読点や段落まで形式も入ってくる技術とくくりましょう。
これが国語の知識として扱われている場面が非常に多いように思います。例えば対句であれば
表現形式が同一または類似している2つの句を相対して並べ、対照・強調の効果を与える表現。詩歌や漢詩文などに用いられる。
とあります。自分達の生活とは離れ、教科書に載っている詩歌について学ぶときに「あそことここが対句になっているよ。」という知識として教えられる場面が多いのではないでしょうか。自分で文章を認める際に対句を使ったことが何度あるか考えてみると、かなり少ないのではないかと思います。
自分の意見を伝えることが注目されている中で、こういった表現技巧から句読点の打ち方までは時間をかけてもいい内容のはずです。すいかと桃の単元は1時間想定としてありましたが、小説や説明文のオマケとして扱うのではなくもっと充実させたいと考えています。ジグソー学習形式で複数の違った文をそれぞれ生徒に考えさせてワークシートを完成させるだとか作文の中で意識させたりと、もっと教え方を学んでいくよう努めます。
佐藤